新庄人気の秘密は…サービス精神と頭の回転
2005年7月7日(木) 17時2分 夕刊フジ
なぜ、この男だけがモテるのか。今や球界ナンバーワンの人気選手といえば、日本ハム・新庄剛志外野手(登録名SHINJO=33)。きょう7日に発表されるオールスター(22、23日開催)のファン投票最終結果でも、2年連続出場が決まるのは確実。CM出演数は球界断トツで、ジリ貧の巨人ナインに見習わせたい、SHINJOイズムの極意とは−。
さすがの役者ぶり。ファン投票最終結果発表前日の6日。不振を極めていた新庄はロッテ戦(東京ドーム)の一回裏、通算11打席ぶりのヒットが、左翼席上段への17号2ランになった。
「狭いわ〜、でももうちょっとクーラーを効かせてくれ打法!!」。新庄は試合中、球団広報を通じてこうコメント。今季17本塁打中16本に、名前を付けている。
「セーフティが決まらんで、よかったば〜い打法っち!!」(16号=福岡での試合。バントを試みファウルにした直後に打って)
「なんか広島好きになったんじゃけん打法!!」(9号=広島球場で2戦連発して)
「右、〇〇〇〇打法!!大当たり〜」(4号=前の打者の中嶋が放ったファウルボールが股間を直撃。その直後にめげずに放って)
といった具合に、ホームランを放った直後のわずかな時間で考え出しているのだから、驚くべきセンスだ。球場の所在地を考慮し、巧みに方言を混ぜているのも心憎い。敵地のファンの心までつかめる形になっているのだ。最近は、携帯電話のメールで使用する「顔文字」まで使っているが、これには対応し切れない新聞社も多い。唯一名前が付いていないのは、6月25日ソフトバンク戦で放った15号で、観戦に来る予定だった知人が前夜に急死してしまったため。喪に服したというわけ。
サービス精神満点の新庄だが、意外にもその肉声は担当記者でさえ、ほとんど聞けない。新庄のコメントは、試合中に流される命名くらい。試合後は、報道陣に声をかけられてもまず口を開かない。開幕後、担当記者が直接取材できたのは、西武戦で代打本塁打を放ったときと、古巣の甲子園で3連戦を終えたときの2度だけ。
まあ、ホラー系のかぶり物をしたまま試合前のノックを受けてみせたときは、素顔を隠したまま、記者会見しているが−。テレビ局に対しても、個別インタビューは断っている徹底ぶりだ。
一見、球界あげてのファンサービス元年に逆行するような態度。当然、報道陣の間にブーイングは起こる。
ところが、逆にこんな声もある。「新庄に限っては、試合後のコメントや、“陰の努力”系のエピソードなんていらない。わけのわからない打法名だけ聞いて、そこに自由な解釈を加えて書いた方が、新庄らしさが出る」というのだ。
真っ白なプレスリー風の衣装に身を包んだ旅行会社をはじめ、計5社のテレビCMに出演し、他にポスターにも登場している。奇抜でわけがわからなくて、それでいておもしろい。本人は気に入っていないようだが、メジャー移籍時につけられた異名「宇宙人」のイメージをますます強め、絶大な人気につながっている。
清原が「弁慶でいっとけ!」と棒読み(失礼!)しているくらいの巨人勢が束になっても、足元にも及ばない。
何もサイン会を開いたり、おまけを配るだけがファンサービスではない。新庄は昨年のオールスター戦で、球宴史上初のホームスチール成功で第2戦MVPに輝いた。今年は何をファンに披露してくれるのだろうか。
あの飛ばしなどで有名な夕刊フジにべた褒めされるなんて気持ち悪くってしょうがありません。