北海道「野球元年」 気後れしない“どさん子”
北海道へ初の栄冠をもたらした駒大苫小牧の堂々たる勝ちっぷりに、全国の高校野球ファンも驚いたはずだ。
長年「野球途上国」のレッテルをはられてきた雪国だが、昨夏準優勝した東北(宮城)をはじめ、近年では東北勢が躍進。ただ、全国から有力選手が集まる東北地方の強豪校に比べると、本州と地続きではない北海道には他県の選手獲得が難しいという地理的ハンディも加わる。駒大苫小牧や今春の選抜大会で1勝した鵡川は、北海道出身の選手ばかりだ。
現在では交通網が発達し、公立校も冬季の遠征が可能になった。全国の強豪校を招いての練習試合も盛んだ。室内練習場を完備したところは少ないが、雪上ノックで実戦感覚を磨いたことしの駒大苫小牧のように、冬場の練習に工夫を凝らす学校も多い。「暑さ対策」も選手はそれほど気にしていないようだ。
また、駒大苫小牧の香田誉士史監督(佐賀商−駒大)ら道外出身の指導者が増えているのも、染み付いた「負け癖」を払しょくし、新しい技術を注入するという面でレベル底上げの一助となっている。1994年夏に8強入りした北海の大西昌美前監督(現北海道浅井学園大監督)は「最近の選手たちは北海道だからといって気後れするようなことはなくなった」と語る。
プロ野球の日本ハムが札幌に本拠地を移し、まさに「野球元年」となったことしの北海道。駒大苫小牧が起こしたさわやかな旋風が、さらに北国の球児たちに夢と自信を与えることは想像に難くない。 (了)